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書籍案内(「警備保障の全て」第2版)
はしがき 深澤賢治 平成7年1月

 昭和61年10月30日に、『警備保障のすべて』をたくさんの方々の御協力のお陰で世に出すことができた。
 有難いことに、その後何回も増刷を重ね、現在に至っている。
 10年一昔とはよく言ったもので、8年前と現在の平成6年12月では業界事情もかなり変わった。たとえば、警備業界の市場規模をあげてみる。当時はデータが公表されていないため、東洋経済新報社やダイヤモンド社の売上ランク表、ビルメン産業年鑑の警備所得ランキング、警察庁がまとめた全国の警備員数を基礎データとして、5000億円から6000億円と推測したが、現在は1兆5000億円となり、今では毎年警察庁より業界全体の市場規模が発表されるようになっている。
 警備業界は、平成5年中の警備業者数が7062を数え、警備員数は32万人を超すに至っている。この警備員数は警察官25万人を7万人上回っており、完全に警備業が社会に定着したことをあらわしていると言えよう。
 さらに女子警備員も、男女同一賃金という条件が相まってか急激に増え続け、1万8880人を超していることは特筆に値する。
 これだけ発展拡大した警備業界は、今後どうなるのだろうか?
 もう成長は終わってしまうのだろうか?
 新聞、テレビ、雑誌等で景気は回復しつつあるというが、実感では少しも良くなっていない。警備業をこのまま続けて良いものだろうか?等々の切実な問いかけが、最近増え続けている。
 私はこのような質問に対し、警備業の未来は明るいと答えることにしている。なぜなら、マクロの視点で見れば警備業が発展拡大する社会環境が整い過ぎるくらい整ってきていると思うからである。
 初版のはしがきに、警備科学研究所の建物を完成させ、参考資料が自動的に集まってくるシステムに目途をつけ、警備業の理論書を書き上げたいと書いたが、なかなか思うように進まない。
 研究所の建物はできたが、参考資料の集まるシステムが少ししか進んでおらず、理論書が宿題のままとなっている。この改訂版の出版を機にもう一頑張りしようと考えている。また、長年の懸案である「警備業用語辞典」も平成7年中には完成させたい。
 いろいろと警備業界に関してやりたいことがたくさん残っている。以前は一気にすべてを仕上げてしまおうと考えたものだが、今はじっくりと腰をすえて業界全体の役に立つ論文や書籍類に取り組んでゆきたいと思っている。
 初版のデータが古くなっていることに責任を感じてはいたが、なかなか手がつけられずに今回まで過ぎてしまった。改訂版は思ったより、大変な作業で実に多くの方々の手をわずらわせた。前回と同じような資料を集めようと努力したが、集められないものもあり、期待に反する記述をせざるを得なかった部分は、お詫びしておきたい。
 本書をまとめるに際し、利根警備保障株式会社の社長室のメンバーには、御苦労をかけた。社長室長の栗原位左雄氏をはじめ柳沼秀夫氏、加藤家弘氏、また、同社社友の柴義輝氏、並びに日本消防設備安全センターの小川光庸氏からの情報、資料の提供、そして社団法人全国警備業協会より御高配いただいたことに敬意を表しつつお礼を申し上げたい。特に警察庁より全体的な御助言・御指導を賜ったこと、さらに、警備保障新聞社の常務取締役編集長の鈴木康弘氏からは専門的なアドバイスと資料引用等に特段の御配慮をいただき、さらに文章構成上に関する格別の御協力をいただいたことについて、深甚なる謝意を表しておきたい。最後に、本書刊行にあたり、東洋経済新報社の足達堅3氏にはたいへんお世話になった。厚く感謝したい。